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Last Message (2)

※2015/11/10 改稿しました。物語の内容は一切変えておりません。体裁と文章を多少修正した程度です。




Last Messgae (2)


 マヤは悩んだ挙句に手紙を書いた。
 一文字ずつ丁寧に想いを込め、間違えては初めから書き直した。
 何度も失敗してようやく書き上げると、部屋を出て白百合荘の大家の部屋へ電話をかけに行った。
 めったにかけることのない、けれど既に覚えてしまっている番号だった。
 3コールを聞いた後に、低い声が電話に出てくれた。
 マヤは受話器を持ち直すと深呼吸をしてから名乗った。

「北島マヤです」
「どうかなさいましたか?」

 用件を聞かれると、マヤは急に怖気づいて躊躇う。だが、スカートの裾を強く握り、決心を固めて口を開く。

「お願いがあります。二つ」

「私にできることでしたら、喜んでお手伝いをさせていただきます。どうぞおっしゃってください。」

「一つ目は、紫の薔薇の人に手紙を渡して欲しいんです」

 簡単な要求だ。だが問題は、もう一つの方だ。
 マヤは声を震わせながら聖に伝えた。
 堪えようにも涙が溢れ、言葉の最後はもう嗚咽になっていた。
 聖は縋り付いてきたマヤに、快諾してくれた。
   
 
 某ホテルの一室で、マヤはスーツ姿の聖に深く頭を垂れた。

「こんな私のわがままを聞いてくださって本当にありがとうございました。聖さんには今までもたくさんお世話になりました。あなたにもとても感謝しています。ありがとうございます。でも、もう二度と会うこともありません。……さようなら」

 マヤが、俯いたまま踵を返して部屋を出て行った。
 彼女は泣いていた。
 聖は彼女が出て行った扉を見つめると、口の端を僅かに引き上げた。
 その日のうちに、速水真澄と落ち合った。
 依頼されていた調査報告書を渡した後で、最後に白い封筒を真澄に差し出す。

「北島マヤ様よりお預かりいたしました」

 真澄はずっと考えないようにしてきた少女の名前に、ビクリと体を震わせ、恐る恐る受け取った。
 先日、マヤが紫の薔薇の人からの励ましの薔薇を、喜ばずに受け取ったことを聞いている。
 それが意味するところを、真澄はずっと考えていた。
 考えれば考えるほど、悪い方にばかり行き着いてしまう。
 いっそ、マヤともうこのまま会わずにいようとさえ思うほどに、絶望していた。

 『紫の薔薇の人へ』
 白い便箋に丁寧に書かれた文字を、彼はじっと見つめた。
 聖が、そんな真澄を冷静に見つめながら、宣告する。

 「最後のお手紙だそうです」

 真澄はフッと力なく口元で笑うと、諦めたように内ポケットにマヤからの手紙を忍ばせた。
 影は続けて主人に薄いケースに入れたディスクを一枚、差し出した。

「ご本人には無許可で撮影させていただきました」

「何を撮った?」

 聖は秀麗な顔に微笑を浮かべた。

「見てのお楽しみにございます。真澄様」



【NEXT】

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